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神姫ちゃんは何歳ですか?第二十八話 天使の舞い降りた夜 書いた人 優柔不断な人(仮) 「おーい香田瀬、悪いけどコレを運んでいってくれ」 商品開発を終え、割と暇な年末を過ごしていると不意に営業の富士田部長からお呼びがかかった 技術部と違って営業部は戦場のような忙しさだった これから年末年始にかけ、各店舗では大規模なセールが行われる 今日日、在庫一掃セールだけでは客は来ないので、新商品や定番商品なども大量に店頭に並べる必要がある その為、我が社としても大量に発生する受注を処理しなければならない 基本的には取引をしてる運送屋に依頼するのだが… 「…全く。なんで伝票を見落とすんだ!…」 どうやら、午後の発送が終わった後に伝票が出てきたらしい 「すいません、白雪関連の伝票だったもので、分けておいたのですが…」 営業の新人が言い訳するも 「置き忘れてどーする!…全く、近くだから良かったものの…」 と一喝される 「まぁ、富士田部長、そのくらいに…彼もまだ慣れてないのですから」 「すまんな香田瀬、そういう訳でコレを『エルゴ』まで運んでいってくれるか?」 と言って俺に小さな箱を渡す富士田部長 「白雪用の補修パーツですね」 「夕方に引き取りに来るそうだ。まだ時間はあるが、道も混んでるだろうし、気を付けてな」 「分かりました、行くぞユキ!」 俺はユキをナビシートに乗せ、車を走らせた ユキのナビゲーションにより(といっても、GSPやVICS等から受けた情報をユキが教えてくれるのだが)比較的すんなりとエルゴに辿り着いた といっても、店の近くは渋滞しており、少し離れたコインパークに車を停めたのだが 「こんにちわー」 「あら、いらっしゃい」 迎えてくれたのはこの店の看板娘のうさ大明神様だ 「誰がうさ大明神ですか」 「心を読まないでくださいよジェニーさん。それより、頼まれてた物を持ってきました」 「それじゃあ、中身を確認しますので、開けていただけますか?」 俺は、ジェニーさんに言われた通りに箱を開ける 「…っと、はい大丈夫です」 ふよふよと浮きながら中身を確認するジェニーさん …いつ見てもシュールだ 「それじゃ、ハンコお願いします」 「わかりました、よいしょっと」 ぽん 伝票の上に着地するジェニーさん 再び浮くと、そこに判が押されていた 「確かに。有り難うございました」 「こちらこそ、急な発注でごめんなさいね」 「それにしても混んでますね」 さすがにシーズンなだけあって、店内は混雑していた 人も、神姫をクリスマスという事で楽しい気分になっているようだった ささやかながらも装飾された店内が、その気分を一層盛り上げてるようでもあった 「そうなのよ。売り上げも好調で、在庫が足りなくなってきそうだから、他にも色々追加で発注したのよ」 「日暮さんも無事に新年を迎えられそうですね」 元々ジェニーさんと二人でやっていたこの店も、いつのまにか自称オーナーの高階さんと彼女の神姫のオウカちゃんが増えて賑やかになっていた 「すごい賑やかになりそうですが…」 困った口調とは裏腹に、嬉しそうな顔のジェニーさん 「楽しそうですね」 「あら?香田瀬さんも大変じゃない?」 「そうですね」 「そっちも楽しそうじゃない?」 「そうですね。楽しみです」 等と話してると 「ジェニーは~ん、何時までもサボってないで、はよレジ打ちに戻ってや~」 「すいませんジェニーさん、引き留めちゃって」 「いえ、いいんですよ」 「それじゃあ俺はこれで。ユキ、帰るぞ」 俺は店内のスペースで他の神姫達と話していたユキを呼び寄せた 「あ、はーい。それじゃ、またね」 ユキが神姫達に別れを告げた後、俺達は店を出た 「うわ、変わってねぇ…」 あいかわらず駐車場は満杯、外の道も渋滞が発生していた 「離れた所に停めてよかったね…」 「そうだな…」 うっかり店の前まで来てたら出られなくなるトコだった 見れば遠くに運送屋の人も見える 俺達のように離れた所に停めて荷物を店まで運ぶようだが… 「重そうだね」 神姫のパーツだけだった俺達と違い、彼らが持っているのは大きなダンボール箱であった 箱にはラインバレル・ロボティクス社のロゴが入ってる 「神姫のフルセットか」 俺達は狭い車の隙間を歩いてくる運送屋をやり過ごす為、その場で待っていた しかし ブロォ~ン! 脇道から、一台のスクーターが飛び出してきた 「うわっ!」 ダンボールで死角となり脇道が見えなかったのか、運送屋が気づくのが遅れた 「やべっ!」 慌ててブレーキレバーを握り、急停止をするスクーター キキーッ さらに車体を倒し避ける ドスン ギリギリ当たらなかったものの、驚いた運送屋は倒れてしまった。そして… ガン! 持っていたダンボール箱がガードレールへと当たる バラッ ダンボールが破れ、中に入っていた黄緑と朱色の箱が飛び出し、イルミネーションが施されている民家の塀に当たる グサッ! 箱は二つ共、もっとも薄いウインドウ部分にプラスティックの星が当たる バチィッ! 電飾がショートし、切れる プスプスと音を立て、焦げた臭いを立てる二つの箱 「なんや?何があった…」 「来ちゃダメだ凛奈さん!」 物音を聞き店の外を窺おうと出てきた凛奈さんに俺は叫んだ 彼女にはこの光景を見せたくなかったからだ いや、神姫には見せたくなかった 出来るならユキにも見て欲しくなかった 何故なら 神姫が産声を上げることなく『死んだ』瞬間だったからだ 「すいません、ウチの方で弁償しますので…」 ペコペコと頭を下げる運送屋 結局あのままスクーターは逃げてしまい、運送屋は日暮さんに平謝り 目の前には焦げた箱が二つ並んでいる 金銭面の問題はカタがつく。運送屋もこういう時のために保険に入ってるのだから しかし、心情面での問題は… 『もし、こんな事にならなければ、どんなオーナーの元へと行ったのだろうか?』 ふとそんな事を考え、彼女達を見る 外装スキンの一部は溶け、内部骨格まで見ている ティグリースの方は右腕が、ウィトゥルースの方は両足が砕け、痛々しい 頭の方はこんなに綺麗なのに… ふと、技術者としての俺がこう考える 『まだ、直せる』 「ねぇ…お兄ちゃん…」 ユキの声に我に返る 「…なんだ?」 「この子達、直せないのかな?」 ユキも同じ事を考えていたようだ そんな俺達の会話に運送屋が割って入る 「直すって言ってくれるのは嬉しいですが、傷物になっちゃ売り物にはなりませんから…」 「いや、そういう事じゃ無いんだ」 「へ?」 俺の返事に戸惑う運送屋 「日暮さん、この子達を俺に売ってくれ」 「センパイ!こっちです!」 日暮さんを説得し、二人を引き取った俺は大急ぎで会社へと戻った 商売人として壊れた神姫を売ることに難色を示していた日暮さんだったが、思いは俺と同じなのか最後には応じてくれた ちなみに原価で譲ってくれると言ってくれたが、丁重にお断りして定価で売って貰った。安く譲って貰うと、彼女達がまるでジャンク扱いでもされるようだったからだ 勿論、日暮さんにそんな意図はないのだが 戻る途中、ユキに皐月へ連絡して貰い、緊急手術の準備をして貰っていた 「皐月、準備は出来てるか?」 「勿論です。ラインバレル・ロボティクス社の方からもデータが届いてます!」 一見無事に見える頭部だが、電気ショックを受けた為、データが飛んでしまっている可能性が高い。したがって、失われてしまったデータを再入力する必要があった 本来、神姫の根幹プログラムのデータは非公開である にもかかわらずこうして寄越してくれるのは、水那岐部長のおかげだろう 「本体の…方も…準備…出来て…ます…」 そう言って水那岐が二つの箱を差し出す 中に入ってるのは、来春発売予定の新型素体『タブリス』だ 『自由意志の天使』の名が付けられたこの素体は、先頃発売されたMMS2ndをベースに、白雪で培った技術を投入し、さらに武装神姫規格のパーツをそのまま使う事が出来るように改良された物である スペック的には通常素体と白雪LMとの間くらいだが、価格は2神姫程にまで下げる事が出来た 「まずは、損傷箇所のチェックからだ」 俺は二人をスキャン装置へとセットする 少しの時間の後、二人のダメージ状況が表示される …やはり状況は真っ赤だ 砕けた手や足は勿論、電撃に晒された本体も内部に大きなダメージを受けていた 「…でも…CSC関連は…なんとか…無事です…コアユニットは…内部に…物理的な…損傷は…ありません…」 しかし、さすがに中枢部は幾重にも保護が為されており、中枢部のダメージは無いとは言わないが思った以上に軽微だった さらにコアユニットに至っては、素体換装をする人もいるため、クレイドルでセットアップを始めるまでは仮止めのみで接続自体されていないのだ 「起動してなかった事が幸いしてますね」 起動していなかった為、過剰な電流が流れずに物理的な被害が最小限に押さえられたようだ もっとも、起動していればこんな事にはならなかったのだが 「これなら、修理すれば問題は無い。あとは頭部の方だな…」 俺は頭部を取り外し、模擬体へと接続する これは本来、初期不良が無いかをチェックする為の物である。コアユニットを作っていないウチの会社だが、白雪のセットアップで神姫を組み立てる場合も多い その場合には、各社からコアユニットとCSC中枢部、武装一式を直接取り寄せて組立て、お客様に発送するのである 「さて、内部のエラーチェックはっと…」 『感情プログラム・エラー、言語プログラム・エラー、バトルサポートAI・8,12,32エラー…』 「さすがに、半分が飛んでるか…」 消えたデータを修復すべく、送られてきたデータを入れようとディスクを探してると… 「あのねお兄ちゃん、ちょっと提案があるんだけど…」 ユキが俺に話しかけてきた 「ん?どうしたユキ?」 「あのね、その壊れちゃったデータ、私から直しちゃダメかな?」 「私からって…自分のデータをコピーして入れるってのか?まぁ出来なくは無いが…」 「ううん、そうじゃなくて、私が直すの。二人の中に入って、教えてくるの」 「…つまり、二人とユキを接続して、デバックしてくるって事か?さすがに無茶だ!一人で二人分のデバックをするなんて!」 ユキの無茶な提案を俺は止めた ユキの体は高性能な白雪のテストモデルだが、コアユニットそのものは普通の物だ。そんな高負荷かけたらどうなるか分かったモンじゃない 「一人じゃなくて、みんなでやればいいのだ」 声に振り返れば、4人の小さな人影があった ミチル、ムツキちゃん、花乃ちゃんにひじりんであった 「あ、あの…健志郎さん、私も頑張りますから」 「私はまだ他人のデバックが出来る程の経験はありませんが、みなさんをバックアップ致します」 「ひじりんも、みんなのお手伝いをするよー」 「ケンシロウ、ここで皆の申し出を袖にしては男が廃るぞよ?」 「みんな…思いは…一緒です…」 「そうですよセンパイ。みんなでこの子達を助けましょ!」 「みんな…有り難う…よし、必ず助けるぞ!」 『おー!』 と言う訳で、コアユニットのプログラム修復はユキ達神姫組が、素体の修復は俺達が行う事にした CSC中枢部の移植は俺が、それ以外の所は観奈ちゃんが行い、それを水那岐と皐月がサポートする 神姫組は模擬体とユキ、ミチル、ムツキちゃんを接続し、外から花乃ちゃんとひじりんがモニターをする 「よし、出来た。ティグリースの方の仕上げを頼むぞ」 「…センパイ、その呼び方辞めません?」 「…は?」 「名前ですよ名前!ちゃんと付けてあげないと!」 「…そうだな。実は考えてあったんだが、セットアップ時じゃ無いとマズイかなって」 「別に…セット…アップ時…じゃなくても…いいんですよ…」 「そうじゃな、ここはやはり、ちゃんとした名前で呼びたいものじゃ」 う…なんか非難されてる俺? 「えーコホン。ティグリースは『ティール』、ウィトゥルースは『ファロン』だ」 「ティールちゃんに」 「…ファロンちゃん…」 「可愛い名前なのじゃ。花乃、火蒔里、ミチル達に教えてやるのじゃ」 「分かりました」 「りょーかいっ!」 「…なんで今?いや別に良いんだが、ユキ達も大変じゃないか?」 「デバックする時には、相手の名前を呼んで上げた方が落ち着くのですよ」 「まぁコレは神姫特有のものだから、ケンちゃんは気にしなくていいよ」 「うーむ、そういう物なのか…っと、ファロンの方も出来たぞ」 「センパイ、早いですよ~」 「まぁこっちも頼む。俺はもう一つやらないといけない事があるんでな」 「もう一つって?」 「コレさ」 と言って俺は作業台の上に壊れたパーツを並べる 「コレって、二人の武装?」 「その通り。真鬼王も直してあげないとな。コッチはデータが飛んでても、神姫から写す訳にはいかないし。ついでに強化もしておこうと思ってな」 「ふえ~、見てる間に分解されていく…さすがセンパイ」 「皐月殿!こっちを忘れては困るのじゃ」 「あっ!ゴメンゴメン…」 こうして、体の方の修理は順調に進んでいった 闇 そこにはただ何もない空間が広がっていた いや、二つの光る物が寄り添っていた 一つは右腕を失った人影。もう一つは両足を失った人影 泣きそうな表情で辺りを窺っている そんな二人に三つの光が近づいた 「あう…」 「もう大丈夫だよ」 光の一つが話しかけてきた その光は人の形へとなった ユキであった 「そっか…話すことが出来ないのだったのだ」 もう一つはミチルに 「でも、私たちが教えてあげます…色々な事を…」 最後の光はムツキへと 「さあ、おいで。ティールちゃん、ファロンちゃん」 二人に手を伸ばすユキ 「え…あ…う…」 「そう。あなた達の名前」 右腕の無い方に向かって 「貴方がティールちゃん」 足の無い方に向かって 「貴方がファロンちゃん」 二人は差し伸べられた手をしっかりと握り 「えう…ちーる…?」 「…はろん…?」 答えてくれた 「これから二人に、色々なことを教えてあげるのだ」 「だから。もうちょっとだけ頑張りましょ」 三人の呼びかけに、二人は顔を見合わせた後 「「…うん!」」 力強く、満面の笑みを浮かべて答えてくれた それと同時に、暗闇に一つの光が現れ、辺りを強烈に照らし始めた 「うーっ、大丈夫かなぁ…」 夜、二人の修理は無事終わり、あとはセットアップをするだけとなった 「センパイ、落ち着いてください」 「…そう…ですよ…診断も…異常なし…なのです…から…」 「そうだな、よし!起動するぞ…」 キーボードを叩き、起動プログラムを実行する 最後に本体の診断プログラムが作動し、チェックを行う 『各部問題無し。これより、セットアップを実行します。貴方がオーナーですか』 「ああ、俺が君たちのオーナーだ。名前は香田瀬健四郎」 『了解しました。それで、オーナーの事は…』 ホっと一安心 「パパと呼ばせて戴きます」 「親父と呼ばせて戴きます」 …はい? 「ちょっと待て!ここは「何とお呼びすれば宜しいのですか?」じゃないのか!?」 そんな俺の言うことは無視して目を閉じる二人 そして再び開いたとき、生気の籠もった目で俺を見つめ 「この度、私をお買いあげ戴き有り難う御座います、私は寅型MMSのティールと申します。これからよろしくお願い致します」 「よっ!あたいを買ってくれてサンキュ!あたいは丑…まぁ見りゃ分かるか。名前はファロンってんだ。ヨロシクな!」 ぽかーん 呆気にとられる一同 「…おかしいですね、デバック時に名前で呼んでも、セットアップ時には忘れているはずなのですが…?」 どうにか正気に戻った花乃ちゃんが言った 「なんで、名前知ってるんだ…?」 「え…そういえば、まだ名前付けて戴いてませんでしたよね…?」 自分の発言に驚くティール 「まぁいいじゃん、細かい事は。んじゃ変える?」 笑いながら答えるファロン 「いや、その名前で良いんだが…」 「ほっ…良かったです。なんかこの名前、とても大切な気がしたので」 「だな。あーは言ったが、実際変えるって言われたらどうしようかと思ったよ」 「大切?」 「ええ。とっても大切な名前です。私たち、夢を見てのです」 「夢?」 不思議に思って訪ねてみる 「…突然まばゆい光に包まれたかと思ったら、深い闇に飲まれそうになって、手をのばそうと思ったら右手が無くて、隣でもがいてるファロンも両足が無くて、だんだん意識が遠のいていったのです」 これってまさか… 「そしたらさ、あたい達を闇から救ってくれたおっきな手があったんだ。とても大きくて、とても暖かい手が」 「その後に現れた光が、私達に名前をつけてくれたのです…そんな夢」 この子達…覚えてるのか? 起動して無くても、自分の身に起こった事を… 俺は二人にそっと手を添え、こう言った 「これからヨロシクな」 「はい…この手…暖かい…」 「ああ…この手だ。あたい達を助けてくれたのは…」 俺は泣いていた いや、みんな泣いていた よかった… この子達を助けられてよかった…
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「…見たトコバッテリー切れだな。一応ちまちま充電した形跡はあるが、満充電まではしてないね。おおかた古い型式のクレイドル使ってたんだろうさ。」 ホビーショップ『165-DIVISION』。 中央線沿線でありながら、イマイチ開発が行き届いていない某駅の南口の古いビルの地下にその店を構える、武装神姫中心のダーク系ショップだ。 大して広くも無い店の中は壁から床から真っ黒に塗られ、時々返り血を模したものか真っ赤な塗料をブチ撒けてある。 商品にしても、これまた隅から隅まで店オリジナルと思しきオノだ鉈だチェーンソーだスパイク付き首輪だ(しかも全てご丁寧に返り血ペイント付き)と、アングラ系アクセサリーで満載。 それも全てが神姫向けだというのだから呆れるというか徹底しているというか。 ……まぁよく見れば正規部品も半々ぐらい置いてあるので、一般客も考慮はしてるんだろうが。 これで実は公式公認店舗なんだという。 入り口には蜘蛛の巣やらドクロやらのステッカーに混じって、公式小売店舗を示すラベルが燦然と浮いていた。 なんでも秋葉原の専門店や、その筋じゃ有名なコギトだかエルゴだかいうホビーショップに比べれば規模は小さいものの、そこそこのバトルスペースまで確保しているってんだから驚きだ。 …一体どこにそんな金があったのやら… そして目の前では、カウンター越しにオーナー兼店主である高校時代の友人がこっちをジト目で睨んでいた。 片目に刀傷みたいな珍妙なメイク。服のあらゆる所にチェーンだのリベットだのじゃらじゃらつけたその姿は一種異様で、当時の真面目そうな雰囲気はカケラも残っちゃいなかったが。 「…で、慎。十年ぶりの再会だっつのに、挨拶もそこそこに「神姫直せ」てのはいくらなんでも酷くない?しかも営業時間外だぜ?」 「……あぁ。悪かった。スマンな縁遠。」 俺のあんまりといえばあんまりな返しに、友人…縁遠は溜息をついて苦笑した。 「まぁキミらしいっちゃらしいけどさ。とりあえずあの子だったら大丈夫だよ。中途半端な充電繰り返したせいで電池ヘタってただけだと思うから。」 当時から変わらずこっち方面の腕は確かなようだ。見た目はどうあれ、専門ショップを開いているのは伊達じゃないらしい。 「あとは…ホコリとかで結構汚れていたからクリーニングしてあげて、新しい電池に換えてきちんと充電してあげれば問題はないよ。…それで、こっから本題なんだけどさ。」 来た。握った手に嫌な汗を感じる。 「あの子はキミの神姫じゃないな?どこで拾った?」 縁遠はまっすぐにこっちを見た。 そこだけは昔と変わらない、澄んだ目をしていた。 「…実はな」 ここで俺は、サムライに逢ってからの事を包み隠さず話した。 そして、一つの頼み事も。 「……そりゃ本気で言ってんの?」 「冗談で言えるかこんなこと。実際、お前くらいしか頼れないんだよ。」 しばし睨み合い。 最初に目線を外したのは縁遠だった。 「わぁかったよ頑固モノ。できる範囲でやってやるさ。」 「……済まない。」 「でも、僕ができる事は調べるだけだ。そっから先は関与しない。いいね?」 「ああ。」 …と、一息ついたら腹が鳴った。 そういや晩飯食ってなかったなぁ… 「飯も食わずに来たのか。」 「うっせーよ笑うな。」 「まぁちょっと待ってな…ドリュー、ステーシー、お茶ー」 縁遠が呼ぶと、カウンターの奥の方からかたかたと…紅茶とスコーンを持った神姫が二体出てきた。 片っぽは浩子サンのモモコと同じゾンビ型。 もう片っぽは、ゾンビ型と同時に発売されたという処刑人型だ。 ゾンビ型同様ビジュアル面での問題があり、全くと言っていいほど出回らなかったという。 …こうもちょくちょく見かけるんじゃ、レアリティもクソもないんだがな。 店の雰囲気にやたらマッチした二体は、ゾンビ型の『ステーシー』は縁遠へ。処刑人型の『ドリュー』は俺の方へと背中につけた大きな腕で、器用にお茶の準備をした。 店の雰囲気にまるで合わない、上品なティーカップの中身を一口すする。美味い。 一応礼を言うとドリューは照れたのか、頭につけたホッケーマスクを目深に被って、ギギギだかゲゲゲだか金属を擦り合わせたみたいな音を立てた。 ……やっぱり笑ってんだろうかコレは。 「どうだ、可愛いだろ?」 カカカカカと笑うステーシーを前に、心底得意げに言う縁遠。 …すまん。やっぱ俺にはよく解らん。 その後、サムライの処置が一通り終わる頃には終電も過ぎ。 おまけに「遅ればせながら開店祝いだー!」とか喚く縁遠にしょっ引かれて、朝まで飲むハメになる。 まぁ久々に会ったことには違いないので、なんだかんだで日が昇るまで飲んで語り明かした。 翌朝。調べがついたら連絡するというので、俺はサムライと充電用クレイドルを持ち家へ帰った。 …ちなみに言うまでも無く、補修代及びクレイドル代はしっかり取られたが。商売人め。 --- 「……ん?」 「お、起きたか。どっか痛いとことか動ないとこむぐゃ」 問答無用で蹴られた。 「いきなり何しやが…!」 「なんで助けた。」 硬い口調だった。……まぁ当然か。 「今までだってアタシ一人でやってきたんだ。いつでも野たれ死ぬ覚悟くらいはあった!手前ぇなんぞにお情けもらう謂れは…!」 「だったら俺の前で倒れんじゃねぇよ。」 今度はサムライが黙った。 「…俺はな。お前さんがどこの誰かは知らんし、どこで野たれ死のうが知ったこっちゃねぇさ。」 「………」 「でもな。助けられんのが嫌なら俺の見てる前で倒れんな。目の前で死なれたりしちゃ寝覚めが悪ぃっつーか、飯がマズくなるんだよ。」 「………」 お互い黙り込む。沈黙が痛い。 「……ンだよ。なんか言えよ。」 「偽善者。」 「否定はしねぇ。」 「何様だってんだ。」 「俺様だ。文句あるか。」 「馬鹿だろ手前ぇ。」 「男は大体、馬鹿なモンだ。」 「青瓢箪。」 「職業病だ。」 「唐変木。」 「それがどうした。」 「甲斐性なし。」 「…関係ねぇだろ。」 「種無しカボチャ。」 「ぶっ壊すぞガラクタ!」 また沈黙。 そして、サムライは堪え切れずに吹き出しやがった。 「………くっせぇ台詞。」 「…………うっせ。笑うな。」 何故か笑うサムライに、耳まで真っ赤になった俺がいた。 ……多分これが一生の不覚ってやつなんだろうか。 エピローグへ
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第3部 「竜の嘶き」 「ドラゴン-3」 2041年10月27日 A飛行場の片隅で天使型のエーベルたちが自分の武装パーツの整備を行なっている。 連日の戦闘で被弾した箇所や老朽化したパーツなどを交換したり修理するなどやることは多い。 エーベルが鼻歌を歌いながら自分の武装パーツを弄る。 エーベル「フンフンフウーーン♪」 シャル「ごきげんだな、どんな具合だ?」 エーベル「エンジンの油漏れがひどくてね、オイルクーラーの方はどうにかなったが、パッキンがなくて苦労しました」 シャル「で、どうしたんだ?」 エーベル「この間撃墜したテンペスタの廃材からかっぱらったんですよ」 リイン「シャルッ!!!」 リインが血相を変えてシャルに詰め寄る。 シャル「私たちのドラッケン戦闘爆撃隊は地上攻撃に専念させるようにマスターに言ったそうですね!!」 シャル「だったらどうした?」 リインが怒鳴る。 リイン「シャルはテンペスタとやるのが怖いんですか!!」 シャル「テンペスタと空戦してもムダだからな」 リイン「戦乙女のアイネスの連中に任せておいていいんですか!!俺の仲間はみんなテンペスタに叩き落されちまった!シャルの仲間もそうでしょう!!なぜですか!?あんたはソレで悔しくないんですか!?」 シャルががっとリインの胸倉を掴む シャル「リイン!!てめえェそれ以上知ったような口を叩いてみろ!!もう二度とキサマとは飛べないようにしてやるぞ!」 リイン「グッ!」 シャルはぱっとリインの胸倉を離すと去っていく。 リイン「へっ・・・チキン野郎め!」 横で聞いていたエーベルが舌打ちをする。 エーベル「おい、リイン!!」 リイン「なんだよ・・・」 エーベル「つまらんことを言うな、ちょっとやりやったぐらいのエース気取りで一人前の口をきくんじゃない」 リイン「俺はそんなつもりじゃ・・・」 エーベルはため息をつく。 エーベル「シャルだって何度もズタボロになりつつも帰ってきている」 リイン「何度も負け戦で臆病風に吹かれたって感じか?」 エーベル「・・・いいか、よく聞けよ小娘、テンペスタと戦うことだけがここの集団バトルロンドの戦闘じゃねえ、地上攻撃や支援攻撃も立派な戦闘だ」 リイン「・・・・」 エーベル「重装甲、重武装の戦闘爆撃機型のドラッケンで軽量高機動のテンペスタに空戦で勝つのは難しい。テンペスタを落としたいお前のガッツは分かるだがな、シャルは爆装した重いドラッケンでテンペスタのウヨウヨ待ち構えている所に味方の支援用の低空攻撃をかけてきているんだ、そしてそれをさらに続けようと言うんだ。上空を他の神姫に、俺やアイネスの連中を信じて任せてな」 リイン「そ、それは・・・」 エーベル「シャルがチキン野郎かどうか、よく考えろよ、その足りない頭でな・・・」 エーベルはそういうと再び自分の武装の整備を無言でもくもくと続ける。 2041年10月28日 天王寺公園神姫センター 第3フィールド森林ステージ 小川にB飛行場に補給を行なう旧式の輸送艦型MMSが数隻、小川を下る。 チーム名「マテハン」 □コルベット艦型MMS「アルバトロス」 Sクラス オーナー名「小野 幸助」♂ 31歳 職業 システムエンジニア □輸送艦型MMS「モントレ」 Cクラス □輸送艦型MMS「フェイサー」Cクラス □輸送艦型MMS「ラヴァトリ」Cクラス □砲台型MMS 「ブレア」Bクラス □砲台型MMS 「ザフィー」Bクラス □火器型MMS 「ノレマ」Bクラス オーナー名「橘田 勝」♂ 40歳 職業 印刷会社総務 シャル「敵チームの輸送船団だ!撃沈するぞ!」 ライラ「生意気にコルベット艦型なんて護衛に引き連れてやがる!」 チーム名「ドラケン戦闘爆撃隊」 □戦闘爆撃機型MMS「シャル」 Sクラス □戦闘爆撃機型MMS「ライラ」 Aクラス □戦闘爆撃機型MMS「セシル」 Aクラス オーナー名「伊藤 和正」♂ 27歳 職業 工場設備関係メーカー営業員 □戦闘爆撃機型MMS「リイン」 Aクラス オーナー名「伊上 直人」♂ 26歳 職業 総合卸商社営業員 シャルたちのドラッケン戦闘爆撃隊がロケット弾を積んで上空から急降下で攻撃を仕掛ける。 アルバトロス「レーダーに感有り、敵機確認!機種はドラッケン戦闘爆撃機4機を認識」 小野「対空戦闘方位3-2-0距離30に備え、このままの戦闘隊形を崩すな、後続の輸送艦隊に発光信号、対空戦闘用意!」 アルバトロスがチカチカと発光信号を発する。 輸送艦型神姫の甲板に上がっている砲台型神姫たちが砲台モードに展開し、迎撃の準備を始める。 橘田「対空戦闘用意っーー各砲台各個射撃はじめ!敵を近寄らせるな!」 ドドドドドドドン!!ズンズズウズン!! 輸送艦型神姫の甲板から砲台型神姫による激しい対空攻撃が行なわれる。 ライラ「おはッ、輸送艦風情がなかなかやるな!」 リイン「シャル!リインだ、殿をやらせてください!」 シャル「・・・」 シャルはリインの顔をじっと見る。 シャル「殿は砲火が集中するぞ!気をつけろ!」 リイン「わかっています!」 シャルはぐんと機首を下げると水面スレスレを飛ぶ、それに続くリイン。 アルバトロス「ドラッケン4機!輸送船団を狙っています!」 小野「いかん!アルバトロス、全速前進!なんとしても守れ」 コルベット艦型MMSがシャルたちの前に躍り出る。 アルバトロス「やらせるかァ!!」 アルバトロスは主砲の2mm単装砲をシャルたちに向かって撃ちまくる。 ドンドンドンドンドンドンドンドンッ!! ガキンバキンゴキン!!シャルの装甲板に命中し穴だらけになるが、シャルはひるまない。 シャル「こなくそ!これでも喰らえ!!」 シャルはグレネードキャノンを展開すると、アルバトロス目掛けて連続で撃ち込む。 ドゴオオオンドッゴオオンンッ!! アルバトロス「うぐおおおおお!!?」 アルバトロスの砲塔に命中し爆発が起きる。 ズンズンズウズズウウウウウン!! シャル「リイン!!ついて来ているか!?」 リイン「はい!!」 シャル「俺はさっきのコルベットの攻撃で満足に動けない!輸送船団をライラたちと一緒に血祭りにあげろ!」 リイン「了解!」 アルバトロス「ごほごほ、主砲塔のモーターが潰れました砲撃不能・・・消火装置作動、火災鎮火、SAM発射します」 アルバトロスは垂直ミサイルを連続で発射する。 ライラ「警告!ミサイルミサイル!」 ミサイルが山なりの弾道を描いてリインたちに襲いかかる。 リインはすかさずチャフフレアを放出する。 リイン「FUCK!」 バッババッバババン!! チャフフレアの欺瞞によってミサイルはあらぬ方向に命中する。 ズンズウウウン アルバトロス「ミサイル全弾はずれ!小口径砲による射撃を行ないます」 アルバトロスは格納式の機関銃座を展開し、リインたちに集中砲火を浴びせる。 ドドドドドドドド!! ライラ「てめえはしつこいんだよ!!」 ライラが機関砲をアルバトロスに向けて撃ちまくる。 ドガドガドガドガ!! アルバトロス「うわあああ!!ま、マスタァーーー!!」 体中を大口径の機関砲で撃ち抜かれ、弾薬庫に引火したアルバトロスは派手な水蒸気爆発を起こして轟沈する。 □コルベット艦型MMS「アルバトロス」 Sクラス 撃破 モントレ「ご、護衛のコルベットが!」 ライラ「邪魔なコルベットは沈めたぜ!」 リイン「よし!今だ!!ロケットランチャー全弾撃ちつくせ!」 バシュバシュバシュシュシュ!! ブレア「うわああ!」 ザフィー「に、逃げろ!」 ノレマ「NOOOO!」 橘田「か、回避全速!!」 モントレ「ま、間に合いませ・・・」 フェイサー「うわあああああああ!!」 ズドドドドオオンッ!!! 物凄い爆音と水柱を立てて、一気に3隻の輸送艦型神姫が木っ端微塵になってバラバラに吹き飛ばされ轟沈する。 □輸送艦型MMS「モントレ」 Cクラス 撃破 □輸送艦型MMS「フェイサー」Cクラス 撃破 □輸送艦型MMS「ラヴァトリ」Cクラス 撃破 □砲台型MMS 「ブレア」Bクラス 撃破 □砲台型MMS 「ザフィー」Bクラス 撃破 □火器型MMS 「ノレマ」Bクラス 撃破 ライラ「イーーーヤッハ!!」 セシル「まるでイワシ缶だぜェ」 リイン「やりましたね!シャル」 シャル「今日は久々に大量だな」 シャルたちは、勝ち誇ったように上空を旋回し、エンジン音を轟かせる。 リインがシャルのすぐそばを通る。 リイン「シャル、昨日はその・・・すまなかった・・・臆病者なんていってしまって」 シャル「本当に臆病ならリアルバトルの武装神姫なんかやらねーよ、ケガしないバーチャルのロンドやってるぜ」 リイン「それもそうだな・・・」 ライラ「そーいえば今日はいつものテンペスタの連中いねえな」 セシル「あいつらはマスターが女子高校生だからな、今週はテストの前だから大人しいんだよ」 ライラ「なるほど」 セシル「ということは、テストが終わった日が危険ということか・・・」 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>「ドラゴン-4」 前に戻る>「ドラゴン-2」 トップページに戻る
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「ハイジャック犯に告ぐ!!この建物は完全に包囲されている!諦めて大人しく投降しろ!!」 深夜8時、大東亜共和国首都の新東京市にて銀行強盗が発生した。 I.N.S.P日本支部サイバー犯罪捜査課勤務の安田 聡美警部補もこの現場に出動していた。サイバー犯罪捜査課は当初は名前道理、インターネットを使った犯罪の取り締まりを行っていたが、2016年のロボティクス・ドライブシステム、2022年のアムドライバー、そして2031年の武装神姫の登場により、それらに関する犯罪捜査も請け負うようになっていった。 「警部、このままでは人質が保ちません。強行突入の許可を!」 「しかしだな安田警部補、今交渉人が説得を続けている。今犯人を刺激するわけには・・・・・」 「だからと言ってホイホイ要求を聞くわけにはいきません!!」 現場近くの本部テント内にて、聡美は上司である初老の警部に食ってかかっていた。 「うむぅそこまで言うなら、やって見せろ。ただし、必ず人質を救出及び犯人確保しろ。MMSの使用を許可する」 「はっ!必ず!!」 しかし、この現場が誰かにとって最後の仕事になることは、聡美自身も判るはずがなかった。 その二:ドライの場合 「と言うわけ、アイン、ツヴァイ、ドライ、戦闘準備急げ!」 「「「了解!」」」 聡美は指示を受けると直ぐさま神姫達の詰め所に向かい、アイン達に出撃指示を出した。 一番機を務めるアイン、接近戦担当のツヴァイ、そして後方支援を受け持つドライで構成される小隊は複数個設定されたルートから突入(否、潜入)した。 「ツヴァイ、ドライ、そろそろ敵が来ますよ」 「判っている・・・」 「OK、いつでもどうぞ」 先頭で呼びかけるエウクランテタイプのアインに対し、それにストラーフタイプのツヴァイとランサメントタイプのドライが答える。 「二人とも安心して。キッチリサポートするから」 「それを聞いて安心しました。・・・・・来ます!」 アインが叫ぶと同時に犯人グループとその神姫達が銃撃してきたが、聡美は咄嗟に避けて難を逃れた。 「イーグル0より各機、散開して各個に応戦!!」 「「「了解!!」」」 自らも物陰に隠れて拳銃で応戦しつつ、聡美は檄を飛ばす。 それを受けたアインはビームライフルで、ツヴァイはサブアームを盾にしながらヴズルイフで、ドライは重装甲にものを言わせて被弾しながらもアクティオンで迎え撃つ。 暗い廃ビルの中、繰り広げられる銃撃戦。辛うじて確認できるのは、大小の銃弾が着弾する音と、マズルフラッシュのみ。後はどれが敵でどれが味方かも判らない闇。 『このままじゃ埒が明かない・・・・。向こうは多人数故に同士討ちの危険も高い。こっちの手持ちは三体、だとすればとれる手は一つ・・・!』 「アイン、ツヴァイ一時後退!!ドライ!反応弾の使用許可!!」 「ええ!?それって一発撃つのに政府の許可が必要じゃ・・・」 「ガス爆発って言い訳しておく!!纏めて吹っ飛ばせ!!」 そう言って聡美はポケットの中から38口径ほどの大きさの反動弾頭を取り出すとドライに放る。 反応弾、赤外線によって誘導され、着弾した際に大爆発(爆風の半径は20センチほど)を起こす強力な爆弾だ。 「もう、どうなっても知りませんよ!!」 とか言いながらもドライは反応弾を受け取り、アクティオンの銃口の先端に装着させて照準を合わせる。 「お願いだからできる限り逃げてよね!!」 アクティオンの引き金が引かれ、白い尾を引きながら飛んでゆく反応弾。 次の瞬間、大爆発が起きて犯人グループの一部と殆どの神姫が熱で、爆風でなぎ倒される。 「相変わらず、凄い威力・・・」 「後で管理官にどう言い訳すれば・・・・。OTL」 「被疑者確保ー!!!」 呆然とするアインとツヴァイを尻目に、聡美の号令一過、警官隊が突入して犯人達の両手首に白く光る手錠を掛ける。 「さてと、私たちは引き続き人質の保護に向かうわ。アイン、ツヴァイ、ぼさっとしてないで行くわよ!」 「そうなる原因を作ったのは姉さんでしょう・・・・!」 「アイン、今は仕事中」 「そうよぉ、後でジェリカン奢ってあげるから」 「はぁあ、寿命縮みそう・・・・」 聡美達が周囲を警戒しながら奥の一室へ足を踏み入れると、人質に(基、神姫質)されていたのか、一体のパーチオが部屋の隅に座り込んでいた。 「姉さん!人質を見つけました!!」 「ご苦労様。保護してちょうだい」 「了解。もう大丈夫よ、安心して」 アインが保護しようとパーチオに近づくも、完全に怯えてしまっており、なかなか向こうも動いてくれない。 「困ったわねえ、これじゃ連れて行きようが無いわ」 「そうだ!姐さん、私に考えがあるわ」 「どうするの?」 「こうするんです」 そう言うとドライはほぼ全ての武装を解除し、パーチオに歩み寄る。 「もう大丈夫よ。怖かったでしょう」 感極まったフェレット型が赤いカブトムシに抱きつく。まるで迷子になっていた子供が、母親を見つけて駆け寄っていくような・・・。 しかし、パーチオは嬉しいはずなのに一向に声を発しようとしない。 「可哀想に、声帯機能が壊れているのね」 「・・・・可愛い・・・」 「にしてもおかしいわねぇ?野良神姫とは思えないし、本当に人質のだったらどっかしらに彼女のオーナーが居るはずなのに・・・・・。まさか・・・・ドライ!その子を離して!!」 「えっ!?」 聡美が叫んだその瞬間、抱きついていたパーチオから閃光が発せられたと思うと、爆発した。 「なんてこと!!神姫に爆弾を仕掛けるなんて!?」 「姉さん!ドライが・・・・ドライが!!」 問題のドライは2メートルほど離れた所に倒れていた。 爆風をもろに受けたドライはあちらこちらがひしゃげてカーボン製の内骨格が飛び出しており、近くにいたツヴァイも顔を中心に損傷を負っている。 「修理班!何人かこちらによこして!!負傷者が出たわ!!!」 聡美が発した通信機への叫び声が、ツヴァイが気絶する前に最後に聞いた声だった・・・・。 無機質な天井がツヴァイの視界に入る。周囲を見渡すと、自身がメンテナンス用のクレードルに寝かされていることが判る。 「ん・・・・、此処は・・・・?」 「気がついたんですね、ツヴァイ」 「アイン・・・?そうだ!ドライは!?」 そう言われて首を振るアイン。 「コアユニットに留まらず、CACにも損傷が・・・。修理班もさじを投げたって姉さんが・・・」 「そんな・・・・・私が、もっと気を付けていれば・・・」 「自分を責めないでツヴァイ。悪いのはあの子に爆弾を仕掛けた連中よ」 「・・・・・・人質は?」 「別働隊が全員保護したわ。安心して」 「そう・・・・なの」 数日後修理が完了したツヴァイは治安局のメンテナンス・センターから出所してきた。 しかし、その顔には斜めに奔る傷跡が無惨に残っている。 オフィスの自身の机に着くと、二人に肩に乗っかられている聡美が口を開いた。 「ちょっとツヴァイ、どうして傷口を消さなかったの?一応神姫なんだし」 「良いの。これは戒めだから・・・」 「それよか、二人に新しい仲間を紹介するわ。ドライ、出てらっしゃい」 「「?」」 すると、一体の神姫が山積みにされた書類の影から現れた。 カーキ色のヘッドマウントディスプレイに赤いお下げ髪が特徴の砲台型神姫、フォートブラッグだった。 「アイお姉様、ツーお姉様、初めまして。本日付でイーグルチームに所属する事になりましたドライです。よろしく・・・」 「貴女は私たちの知っているドライじゃない」 「ツヴァイ・・・」 「まあともかく、三人とも仲良くしなさいよ」 「「「はーい」」」 この段階ではまだまだ馴染めないドライ(2代目)だが、この後初代以上のコンビネーションを発揮することになるが、それはまた本編で。 とっぷへ
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キズナのキセキ ~ エピローグ ~ □ 俺は今日も、ティアを連れて、ゲームセンター「ノーザンクロス」に来ている。 四月を半ばを過ぎた土曜日の午前中。 チームメイトはまだ来ていない。 高校生のメンバーは午前授業の日だし、大城はランキングバトル目当てだから、昼過ぎにならないと来ない。 新年度が始まって間もない頃だ。常連客もまばらで、ゲーセンの中はいつになく平穏だった。 菜々子さんと桐島あおいがバトルした日から、二週間が経つ。 菜々子さんは、いまだに顔を見せていない。 体調が悪いわけではないようだ。彼女の様子は、頼子さんからのメールで知っている。新学期が始まり、忙しくしているのは間違いない。 しかし、以前は忙しくても無理矢理時間を作ってまで顔を見せた彼女だ。あの日以来、ゲームセンターに来ない彼女を心配して、八重樫さんたち高校生メンバーが先日、久住邸を訪ねたらしい。 頼子さんが玄関先に出て言うには、 「もう少し時間がほしい」 とのことだった。 今はまだ心の整理がつかないということだ。 「……早く戻ってきてくれればいいのに」 八重樫さんたちは少し寂しそうにそう言った。 俺も大城も、菜々子さんが帰ってくるのを待っている。 だが、彼女が帰ってこられない原因の一端は、間違いなく俺にあった。 あの日、バトル終了後に警察が踏み込んできた。 その手引きをしたのは俺だった。 警察には離れたところで待機してもらい、バトルが終わってから踏み込む手はずになっていた。 バトルの勝敗に関わらず、『狂乱の聖女』は捕らえられる予定だった。 そこまでのお膳立てをする代わりに、現場でのリアルバトルと多少の無茶は目をつぶってもらえるよう、警視庁の地走刑事とは話を付けていた。 結果、任意同行ではあったが、桐島あおいは警察に連れて行かれた。 すべてが終わった後、そうする必要があったことは説明したが、菜々子さんにしてみれば、俺の裏切りに見えても仕方がない。 俺は言い訳しなかった。菜々子さんの落胆は痛いほど分かったが、慰めの言葉をかけることはできなかった。このときほど、自分の口下手を呪ったことはない。 その日以来、俺は時間を見つけては、できるだけゲームセンターに入り浸るようにしていた。 日々の状況をメールで菜々子さんに知らせる。以前、彼女が俺に、そうしてくれたように。 たまに短い返信が返って来ると、ほっとする。彼女との絆が断たれていないことを実感するのだ。 そして俺は待ち続ける。 彼女が来るのを待っている。 □ 「あっ……マスター……あの方は……」 先に気がついたのは、ティアだった。 俺は顔を上げる。今入ってきた客の姿を確認する。 一瞬、本人かと見間違えそうになる。だが、ティアの言うとおり、俺の待ち人だった。 その客は女性である。 軽やかな春物のワンピースとカーディガンを身まとい、清潔感のある大人の女性、といった佇まい。 帽子をかぶっていないせいもあってか、過去に見た印象をまるで違って見えた。 その女性が俺の視線に気づいたように、顔を上げた。 彼女は迷わずに俺の前までやって来る。 「遠野くん……ちょっと、いいかしら?」 涼やかなその声は、一度ならず聞いている。 俺は応える。 「やっと来てくれましたね……予想より遅くて心配しましたよ」 振り向かずにはいられないほどの美貌が目の前にある。少し緊張しながら、名前を呼んだ。 「……桐島さん」 俺の待ち人……桐島あおいは少し困ったような微笑みを浮かべ、肩をすくめた。 □ やかましいゲームセンターで立ち話も何なので、俺は行きつけのミスタードーナッツに桐島あおいさんを案内することにした。 甘いものは大丈夫かと訊くと、大好き、と笑顔と共に返事が来た。 マグダレーナと一緒だった時とは明らかに雰囲気が違う。不敵な笑みを湛えた、超然とした雰囲気はなく、人好きのする明るい雰囲気に入れ替わっている。こちらが桐島あおい本来の姿なのだろう。 店に着いて、ドーナツを取って席に座る。 店の奥、窓に近い席だ。俺が入り口が見える方に腰掛けると、桐島さんが向かいに座った。 「あの子が……マグダレーナがかばってくれたみたい」 桐島さんがそう話し始めた。 彼女が警察にいたのはバトルの日の夜までで、その後二回ほど警察に出頭して終わりになったという。 厳重注意されただけで、何のお咎めもなかった。 それというのも、マグダレーナのメモリから、桐島あおいに関する一切の情報が出てこなかったからだ。最凶神姫から直接的な手がかりが出てこなかったため、証拠不十分として注意だけで終わったらしい。 もっとも、マグダレーナのメモリから桐島さんの記録が出てきたとしても、大きな罪には問われないだろうとは予想していた。 裏バトルに出入りして、賭博に関わっていたことは事実としても、証人の方も裏バトルの運営者や、裏バトルに参加するマスターや観客だから、桐島さんの証言をすれば、やぶへびになりかねない。 また、警察が今回の件でターゲットにしていたのは桐島さんではなく、マグダレーナだ。彼女はどちらかと言えば、重要参考人だった。 だから、警察が掴んでいる以上の罪には問われないと思っていた。 それにしても、マグダレーナが警察の調査の前に、桐島さんの記録を消したというのは、どのような心境の変化だったのだろうか。 「マグダレーナも……桐島さんとの絆を自覚した、ということでしょうか?」 テーブルに座っているティアが言う。 俺と桐島さんは小さく頭を振った。今となっては想像の域を出ない。真意を知っているのはマグダレーナだけだ。 だが俺も、ティアと同じように……マグダレーナが最後には、人間との絆を信じるに至ったと、思いたい。 「それに、世の中はそれどころじゃないものね」 桐島さんが苦笑しながら言うのに、俺は真顔で頷く。 そう、今、世間はそれどころではない。 マグダレーナの記録から、亀丸重工によるMMSの軍事研究利用が明るみになったのだ。 日本有数の大手企業によるMMS国際憲章違反。丸亀重工には、先日、強制捜査が入る事態にまで発展していた。 この事件は連日報道されている。警察は蜂の巣をつついたような騒ぎになっているはずだ。 先日、バトルの現場を押さえた警察の真の目的がこれである。 亀丸重工よりも先にマグダレーナを確保し、亀丸のMMS不正利用を暴き出す。それは見事に成功した。 また、桐島さんとマグダレーナが救い出して保管していた神姫たちも、彼女たちのアジトだった廃倉庫から発見された。 百体近い神姫の保護は前代未聞だ。しかも、いずれも人間のマスターによって虐げられてきた神姫ばかりである。 警察のMMS犯罪担当は、普段でも全然手が足りていない。そこへこの大規模事件に大量の神姫の保護である。裏バトルの参加容疑者一人にかまってはいられない状況だった。 今の状況を改めて整理してみて、思う。 マグダレーナは、彼女が望んだ方法ではなかったにせよ、結局は彼女自身の復讐を果たしたのではないか。 マグダレーナ自身が犠牲になることをきっかけに、恨みのあった企業にダメージを与え、研究を停止させて仲間を救い、さらに人間たちに虐げられていた神姫たちを数多く救った。 それは紛れもない事実なのだ。 「その後はどうしていたんです?」 「祖父母のところに戻って、いろいろ話したり。祖父母はずっと放任だったのにね……警察に世話になって、病院で検査して……なんてことしてたら、怒られるやら、心配されるやら、泣かれるやら……不思議よね」 桐島さんが、肩をすくめて苦笑する。 それが桐島さんの家族の絆だということなのだろう。血のつながりはそう簡単に断てるものではないのだ。俺はふと、頼子さんと、自分の父親のことを思い浮かべていた。 「それから、心療内科に検査に通ったわ。長い間、マグダレーナの催眠術を受けていたから、念のために」 「結果はどうでした?」 「まあ、深刻な影響は出てないみたい。でも……結局のところ、どこまでが自分の意志で、どこまでがマグダレーナの操作だったのか……いまとなっては、わたしにも分からないの」 桐島さんはうつむき、苦渋の表情を浮かべながら、続けた。 「菜々子には悪いことをしたわ。後悔している。あの子から、ミスティを奪うなんて……どうかしていたと、今になって思う。 でも、あのときの気持ちは……はっきりしないの。マグダレーナの意志なのか、自ら望んだことなのか……今となっては分からない。 もしかしたら、もう後戻りできない自分を止めてもらいたかったのかも知れない」 後戻りできないように未練となる妹分と戦ったと思っていたが、実際には逆だったのか。 二度の敗北を喫してもなお、菜々子さんは立ち上がり、そして勝利した。 かつて桐島さんが語った「理想の神姫マスター」となった菜々子さんが、かつて菜々子さんが「アイスドール」と呼ばれた時の思想を極めた桐島さんを倒した……そして桐島さんは、心のどこかでそうなることを望んでいた……なんとも皮肉な話だ。 そう言えば、桐島さんの暴走を止めたいと願う人が、もう一人いたことを思い出す。 「……姐さんには会いましたか?」 「姐さん……? だれ?」 「M市のゲームセンターで働いてる、バイトの姐さんですよ」 「ああ……」 「あの人も心配していましたよ、桐島さんのことを。一度会って、無事を伝えた方がいいと思います」 「っていうか、あんなとこまで行って、調べたの?」 ちょっと睨みながら、それでも口元には笑みを浮かべて、桐島さんが小さく抗議する。 その表情がどこか菜々子さんを彷彿とさせて、なるほど姉妹なのだなと、妙なところで納得した。 俺はその抗議をどこ吹く風と受け流しながら、コーヒーのカップを口に運ぶ。 よくやるわね、と桐島さんは肩をすくめ、一段落したら姐さんに会いに行くと約束してくれた。 「それで……これから、どうするんです?」 俺の問いに、桐島さんは自嘲するように笑った。 「……もう武装神姫はやめるわ。あの子にも、もう会わない。それがわたしの、せめてもの償いでしょうから……ね。 今日はそれを言いに来たのよ。あの子に……菜々子に会えなければ、もうそれっきりのつもりで……」 「……」 「だから、遠野くん、菜々子に伝えてくれる? もうわたしのことは忘れて、あの子の望む道を行きなさいって……」 「駄目です」 俺は彼女の言葉を即座に否定した。 少し目を見開いて驚いた桐島さんに、俺は真顔で続ける。 「菜々子さんに償うというなら、あなたは武装神姫を続けなくては駄目だ。それが菜々子さんの望む道だ。あなたがここでやめてしまえば、彼女の今までの苦労がすべて無駄になってしまう。それは俺が許さない」 「でも……」 「それに、ルミナスもマグダレーナも……あなたの神姫たちは決してそんなことを望んではいない。新たな神姫を手にして、絆を育む。それこそが、彼女たちが本当に望んだことでしょう」 だからこそ、マグダレーナは自らの記録から桐島さんを抹消し、彼女を守ろうとしたのだ。俺はそう信じている。 桐島さんは、深いため息を一つついた。 「厳しいわね、遠野くんは……そして優しい」 「優しくはないです。……俺の言うことなんて、誰かを追いつめてばかりだ」 俺がもっとうまく話ができたなら、もっとうまく立ち回ることができたなら、誰も傷つけずに解決できたかも知れない。いつも、そう思う。 「それに、俺は菜々子さんのためだけに動いています。彼女のためなら、厳しいことなんていくらでも言いますよ」 「菜々子が好きなのね?」 「……一応、恋人なので。 それに……菜々子さんはかけがえのない恩人です。 俺が絶望しているときに、手を差し伸べてくれたのは、彼女だった。 あなたが、絶望の淵にいた菜々子さんに、手を差し伸べたように」 「……」 「彼女の気持ちはよく分かる……だから、こんなメールも送ります」 俺は桐島さんに携帯端末の画面を向けた。 彼女の眼が大きく見開かれ、顔色を失った。 「このメール……いつの間に打ったの?」 「この店に来る道すがら」 ドーナツ屋に案内しながら、桐島さんに背を向けていた俺は、自分の身体をブラインドにして、素早くメールを打ち、送信していた。 タイトルだけの短いメール。 『いますぐドーナツやにきて』 相手先にはそれだけで用件が伝わると確信している。 桐島さんが驚きのあまり腰を浮かせた。 俺は彼女の肩越し、今し方入ってきた客に視線を向けながら、言う。 「逃げられませんよ?」 息を切らして入ってきたその客は女性。 ショートカットの髪。春物のブラウスに、細いパンツという出で立ち。肩に神姫を乗せている。 どうやらメールを見て、急いで来てくれたらしい。ベストタイミングだ。 俺と視線が合う。 すると、まっすぐにこちらにやってきた。 「貴樹くん……!」 確信は現実になった。 俺は彼女に小さく手を挙げたのみ。もはや何を語ることもない。俺の役目はここで終わりだ。 メールの宛先……久住菜々子さんは、桐島さんの真後ろまで迫っている。 菜々子さんが、ぴたりと歩みを止めた。 「……あおい……おねえさま……?」 おそるおそるその名を口にする。何ともいえない表情が、彼女の複雑な心の内を物語っている。 桐島さんも、負けず劣らず複雑な表情をしていた。驚き、苦渋、そして慈愛。いくつもの感情が彼女の表情を行き過ぎる。 だがそれでも、大きな吐息一つで心を整えたようだ。視線をあげた桐島さんの瞳には、覚悟の色が見て取れた。肩をすくめて薄く笑う。 そして、俺にしか聞こえない声で、言った。 「ありがとう、遠野くん」 俺は小さく頭を横に振った。 桐島さんは立ち上がり、振り向く。 「菜々子……」 菜々子さんは動けずにいる。 一瞬の沈黙。 二人の間に万感の思いがよぎる。 今にも泣き出しそうな、菜々子さんの顔。 ふと、桐島さんが微笑んだ。作り物でない、本当の笑みは、とんでもなく魅力的だった。 そして、今一度、愛しい妹分の名を呼ぶ。 「菜々子……!」 「……お姉さまっ!!」 菜々子さんが、桐島さんの腕の中に飛び込む。しっかり抱き合う。 ようやく菜々子さんは分かったのだ。出会った頃と同じ、本当の桐島あおいが戻ってきたことに。 桐島さんは優しく微笑んでいる。 菜々子さんの閉じた瞳の端に、光るものがにじんでいる。 二人の間に言葉はない。 だが、離れていた二つの螺旋は、ようやくここに同じ方を向いて重なった。 菜々子さんの肩にいた神姫が、こちらのテーブルの上に飛び降りてきた。 「ティア!」 「ミスティ……!」 二人の神姫も、抱き合って再会を喜ぶ。二人の間にあったわだかまりも、もはや遠い。 ミスティは自分のマスターを見上げ、眩しい笑顔になった。ティアも明るく笑っている。 店の中が少しどよめいている。 店員も他の客も、何事かとこちらを見ている。 菜々子さんと桐島さんは抱き合ったままである。 だが、俺は彼女たちに声をかけることはしなかった。 周りの目など気にする必要もない。 なぜなら、二人は様々な困難を乗り越え、二年もの時を越えて、ようやく真の再会を果たしたのだから。 しかし、すべての事情を知る俺が、その様子をじろじろと見ているのは、あまりに無粋というものだろう。 だから俺は、そっと、目を閉じた。 (キズナのキセキ・おわり) Topに戻る>
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そのじゅういち「勝ち負けよりも価値ある性質の立ち合い」 僕が武装神姫のオーナーだという事が学校で噂になった。 原因はもちろんあの女――モトカノをあの女呼ばわりもアレだけど――があること無い事吹聴してまわっている為だけど、それに伴って僕にとっては懐かしい事すら噂になっていた。 あんまり僕にとって愉快じゃない事なんで、明言は避けとくけど、まぁ、若気の――といっても今でも若輩なんだけど――至りってヤツで。 ついでと言っちゃついでなんだけど、僕に美人の彼女がいると言う噂までおまけに広まったもんだから、ここの所、どーにも学校が居心地よくない。 人の噂も七十五日とは言うけど、二ヵ月半もこんな噂に悩まされ続けるのかと考えると、自然と憂鬱になるというもの。 というか、年明けちゃうし。 更に更に、この噂のせいで、僕は今年一杯の部活動の禁止を顧問に言い渡された。 曰く、「精神修行であるこの場に、たかだか一学年の間とは言え他のものの集中を邪魔する原因を置いておくわけにいかん」とか。「お前の所為ではないのだが、スマンな」とも言ってくれはしたけど、僕の意思は無視ですか? でも、僕としてもそれはありがたい事でもなくもなく。 ……やっぱりどうしたって学校が居心地悪いわけだから、それこそ放課後はさっさと学校から逃げ出したい訳だから。 かと言って、毎日開き直って神姫バトルを繰り返すだけのゆとりがあるわけでも無いので、学校には秘密で短期バイトでも探そうかとも思いながら、それでも僕は1時間20分電車に揺られて、平日だって言うのにエルゴまで来ていたりする。 ……バカだなぁ、僕。 今日はせっかく学校が早く引けたのに、なんだかチョット時間無駄にしてる様な。 何で休日にしなかったのか。バカだなぁ、僕。 「とはいっても先立つものも無いしなぁ……」 「ですぅ~」 懐のさびしさに僕とティキは思わず同じタイミングでため息を吐く。 なんで金欠だってのにわざわざ1時間20分強の時間を費やしてるのか。つくづくバカだなぁ、僕。 そんなに自分のことをバカだバカだといってても凹むだけなんで、気を取り直して僕は店内へと入った。 どうでもいいけど、神姫もため息って吐くもんなんだな。……ホントにどうでもいいことだけど。 「「「いらっしゃいませ」」」 店長とは明らかに違う、女の人の声が三つ、同時に発せられる。 一つはこの店のシンボル、『ウサ大明神様』ことジェニーさん。他の二人の声は、聞いたことの無い声。 と言っても、僕はこの店に来るのがまだ二度目なので、バイトの人だとしても知らなくて当然なんだけど。 一人は接客をしている女の子。僕と同じか、一つ二つ上くらい。高校生なのは見ただけで丸わかり。だって、制服着てるし。 もう一人は神姫。TYPE 吼凛。なんだか商品モデルをやってる風。うん。このハウリン、接客している彼女の神姫みたいだ。一応、距離感でそれくらいはわかる。 でもこのハウリンがアノ有名な魔女っ子神姫だなんてその時の僕には知る良しも無く。後々に思えばすごくもったいない。……写真でも一緒に取れたら式部に自慢できたのに! 「こんにちは、ジェニーさん。店長さんいますか?」 レジで店番をしているジェニーさんに話しかける僕。この前来た時、思わず『ウサ大明神様』と呼んでしまったが、彼女はどうやらあまりそういう風に呼んでもらいたくないらしい。 「お久しぶりですね。今、二階に居ますよ」 ジェニーさんはまだ二回目の僕の事を覚えてくれていたらしい。……神姫なんだから当然と言ってしまえば当然だけど、うれしかったりする。 「二階……筐体コーナーですね。でも、あれ? なんか随分盛り上がってますねぇ?」 事実、二階からどよめきとも喚声ともつかない一種異様な音がもれ響いている。 「チョットしたハプニングと言うか、イベントと言うか……」 ジェニーさんは苦笑を浮かべながらなんとも歯切れの悪い事を言う。 「? とにかく行ってみるですよぉ♪」 ティキは好奇心が抑えきれないと言う風にウズウズしている。 僕としてもそこら辺はティキと同じ気持ちなので、ジェニーさんにお礼を言うと、二階へと向かった。 二階は異様な熱気に包まれていた。 3on3の、所謂チーム戦。それがただのチーム戦なら、こんなにも盛り上がりを見せる事は無い。 まず参加者が凄まじい。 セカンドリーグで名を馳せる『D-コマンダー』と言えば、知らないやつはそう居ない。かくいう僕も、実際そのバトルを見た事は無いが、チーム戦におけるファースト昇進の壁と言われる風評を知らないわけが無い。 片や相手チーム。オーナーブースに二人いる変則マッチだけど、神姫はそれでも三姫。このメンバーもすごい。 『隻眼の悪魔』・『神速の紅眼』・『紅き眼の狙撃手』・『紅の剣客』・『朝霧の紅眼』……などと幾つもの二つ名を持ちながら結局固体名そのままの名で呼ばれることの多い隻眼のストラーフ、十兵衛。 二つ名を持たないまでもその戦闘スタイルから『ケット・シー』と揶揄される事も多いマオチャオ、ねここ。 最後の一姫はさすがにその手の情報に疎い僕だから名前まではわからないけど、それでもそのハウリンの戦闘スキルは、見ただけでその高さを窺い知れる。 「おい、ティキ…… 僕達、とんでもない時にとんでもないタイミングで来たみたいだ……」 こんなカード、早々見られるもんじゃない。と言うか、絶対お目にかかれない。 今、この場所以外のところでは。 「全てを吸収なんて、できるはず無いけど、それでも絶対に参考になるから、見逃しちゃダメだ」 「……ハイです!」 いつもにも増して真剣な僕とティキ。僕らはそのバトルに釘付けになった。 中でもやはり注目しちゃうのは、同じマオチャオであるねここ嬢だろう。基本は同じ特性を持っているわけだから、一番参考にしやすいって言うのもあるのだけれど。 迫力のバトルは終わりを告げ、僕は今サブモニターでのエキシビションとして流れてるさっきまでの試合を眺めていた。 周りはそのときの熱気のままに、バトルが盛り上がっているけど、僕はそのあまりのレベルの高さに、試合が終了したと同時に脱力してしまっていた。 格好悪いけど、腰が抜けたんだ。 そんな僕の頭の上で、上手にバランスを取って座っているティキも、その眼はサブモニターを注視していた。 エキシビションのねここ嬢を見ながら、僕は誰に向けるわけでもなく小声で言う。 「すっげー、すっげー、すっげー。 あんな挙動、参考になんないよ。あんな、『幻惑する流星』のごとき、『切り裂く雷神』のごとき挙動なんて」 多分僕は放心状態で、ティキにしてもきっと衝撃的な体験で。 でもそれでも。 きっとティキもそう思っているんだろうけど。 その地平に憬れて。 そこに立てない自身が悔しくて。 それでもそこに向かう決意を固めてる。 三回目の試合映像を見終えると、僕ら二人はお互いなにも言わず、誰にも何も告げず、大いに賑わっている店内から出て行った。 帰りの電車の中。 僕とティキ――ティキは僕のジャケットの内ポケットの中――は、バトルの余韻と、不甲斐ない自分達に向けられた悔しさに当てられたままに電車に揺られている。 「あっ!」 内ポケットでティキが声を発した。 何事かと思いコッソリとティキを覗く。ポケットの中のティキは何処か驚いたような顔をして―― 「あっ!」 そして僕も思い出す。 店長さんに、相談しようと思ってわざわざエルゴまでやって来た事を。 終える / もどる / つづく!
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朝方の騒ぎも一段落し、浩子サンは渡した原稿持って出版社へ戻った。 にゃー供は浩子サンが連れて行った。なんでも校正だの添削だの、下手なバイト使うよりも優秀なんだそうだ。 …その内バイト代請求しちゃろか。 パットは二度寝。 …食うか寝てるか迷ってるかしかしとらんなあいつは。 神姫ショップをやってる友人曰く、まともに戦えばそこそこのランク狙えるそうだが本当かね? ジュリの手により砲台型神姫からラーメン型神姫に簡易改造されたアイリは、おそらく洗面所で顔の落書きを落としていると思われる。 …油性っぽかったからなー。落ちるのかアレ。 そのジュリはと言えば…どうしたのかやたら静かだ。 さっきアイリにぶっとばされたからその辺で伸びてるのか。 まぁなんだかんだで意味も無く頑丈だし、問題はないだろう。 そして俺はと言えば、なんとなく目が冴えてしまい、以前友人に貰ったビデオを観ている。 数年前の、神姫バトルセカンドリーグの決勝戦の記録映像。 そこには鬣をなびかせたアイツが。 『ジュリ』になる前のとあるサムライが、トロフィーを掲げて誇らしげに笑っていた。 「……そういやアイツ。最近ようやくこんな風に笑うようになったよな……」 それはほんの1年前。その頃を思い出しながら、俺は微睡みの中に落ちていった。 --- 今でも覚えている。 そいつを最初に見たのは、夕日に染まる河原だった。 夕日をバックに、ライオンの鬣みたいな髪をした女サムライが素振りをしている。 ソレが身長15センチほどの人形だと気付くのに若干の時間を要した。それ程の存在感があった。 紅い光に照らされた小さなサムライは、陳腐な表現だが、俺の目にはとても美しく、眩しく見えた。 ……そん時のことは誰にも言ってない。つか、恥ずかしくて言えません。 そんでまぁ、しばらくぼーっと飽きもせず眺めていると、ふと妙なことに気付いた。 (下手糞だな) そう。最初の内こそ気迫に圧倒されて気付かなかったが、下手なのだ。 チャンバラと言えば、精々時代劇くらいしか知らない素人の俺が見て解るほど。 なんというか「ただ棒を振っているだけ」というか、やる気の無い剣道部員が惰性で竹刀振ってるような。そんな感じで。 だというのに、当人の顔は真剣そのもの。よくよく思い返しても珍妙な光景ではあった。 一時間ほど見ていても変化がなかったので、見かねて声を掛けたところ…… 「うるせぇなぁギャラリーなら黙って見てろ。軽そうな頭カチ割るぞ三下。」 ……まぁ、第一印象は壊滅的に悪かったな。 --- その日の夜、原稿回収を口実に飯を食いに来た浩子サンに聞いたところ、そいつは『武装神姫』の侍型なのだと教えてもらった。 …高校の頃の友人がショップを始めたとか手紙で連絡してきたっけな。そういえば。 「……んで、その『ぶそーしんき』っつーのは、そのなんだ、肩に乗ってるグロちっこいのの仲間か?」 「そーよー。可愛いでしょ?」 んふふー♪とか笑いながら、ツギハギだらけの青白い人形に頬擦りをする浩子サン。 その不健康な肌の人形も、くすぐったそうに頬擦りを返していた。 …あとで聞いた話だが、そん時浩子サンが連れていたのは一部で『幻の神姫』と呼ばれたゾンビ型。 ビジュアル面で恐ろしく一般受けしなかったために、最初期の流通分を除いて再販されなかったとかなんとか。 嘘か本当か知らんが、一部の好事家には垂涎の的らしい。 「ほーらモモコ。ご挨拶♪」 『モモコ』と呼ばれたゾンビ型神姫は、サイケに塗り分けられた頭を小刻みに揺らしつつ、カカカカカ…とアメリカンクラッカーでも鳴らしてるような音を立てた。 ……それが笑っているのだと気付くのに数分かかった。 「……か、可愛い、か……?」 …正直、俺にはよく解らなかった。 --- それから数日。夕方になると、俺は川原で下手糞な素振りを繰り返すサムライをぼーっと眺めるのが日課になっていた。 サムライの方もこちらに気付いているようで、しかし、特に話しかけてくることもなかった。 --- 「なぁ浩子サン、神姫ってのは電池かなんかで動いてんのか?」 「ん?うん。詳しいところは私もよく知らないんだけどね。ちょっと充電しなくてもケータイくらいはもつよ。」 …とすると、どっかで充電とかしてんのかな。あいつ。 「……ねぇ慎くん、その子さぁ、マスターとかそばにいなかった?」 「マスター?…所有者ってこと?……そういやそれっぽいのは見たことねぇなぁ。日が暮れたらさっさとどっか消えちまうし。」 「うーん…そっか…あのね?」 浩子サンが言うには、マスターのいない野良神姫ってのも意外に多く、所謂野良動物みたくロクな目に遭わんのだとか。 「…明日あたり聞いてみるか」 --- 更に翌日。 その日のサムライはたまたま休憩しているのか、小さな石に座っていた。 俺もちょっと離れたところに座る。 しばらくぼんやりと眺めていたが、動く気配がないので話しかけてみた。 「なぁサムライ、今日は素振りしねぇのかよ」 「ノらねぇ」 見事なまでに一刀両断。 結局彼女はなんもしないで消えていったので、俺もそのまま帰った。 しかし、それからはちょくちょく会話するようになった。 実は向こうもキッカケを待っていたのかも知れん…てのは自意識過剰なんだろうか。 …実際大したことは話していない。その日の天気とか何食ったかとかどこに行ったとか、そんなことだ。 あとは黙って夕日を眺めたりとかな。 傍から見ればロボット人形相手に世間話ってのも異様な光景だと思うが、不思議と俺自身は変に感じなかった。 多分、対等に話せる相手があんまいなかったってのもあるんだろう。 俺はあえてサムライのことは聞かなかったし、彼女も特に俺のことを聞かなかった。 互いの呼び方にしてもそうだ。 「…しっかし手前ぇ毎日毎日来やがって。そんなヒマあんなら働けよおっさん。」 彼女は俺を『おっさん』と呼び、俺は俺で『サムライ』と呼ぶ。 何故だか解らんが、お互い名乗りもしなかった。 「あんなぁ…ちったぁ息抜きくらいさせろよ。日がな一日埋まらねぇ原稿用紙とにらめっこしてんだこっちは。たまに外出ねぇとマジで腐っちまわ」 ここでサムライは、驚いたようにこっちを見た。 お、意外に可愛い…ってなに言ってんだ俺。 「おっさんアレか。物書きか。」 「まぁそうだ。大して売れてねぇけどな。」 「ふぅン…」 そして、また二人でぼーっと夕日を眺める。 しばらくして、サムライが言った。 「……実はアタシのマスターも元は物書きでな。時代小説とか好きな人だったよ。」 「……そーかい。」 ここで俺は、一瞬迷った。本当に迷った。 聞くべきか聞かざるべきか。 でもな。それでもやっぱり…… 「なぁ……前から気になってたんだけどな。」 「ん?」 「……お前さんのマスターとやらはどうしたんだ。」 サムライが息を呑んだ…ように思えた。 ……そして沈黙。 いいかげん静寂に耐えられず冗談だと言おうとしたら。 サムライが音もなく倒れていた。 SIDE-Bへ
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項目 読み 意味 まお まお 猫型マオチャオのリペイント版のこと。電撃ホビーマガジンで第2弾デザイン担当のBLADE氏が連載する「武装神姫2036」に登場するキャラクターがリペイントVer.として登場した。フィギュアの頭部は表情や形が異なっているが、バトルロンドでのコアは通常版と同一である。故に「まお」という個体の名称よりも、水猫の方がメジャーである。 マオチャオ まおちゃお 第2弾神姫、猫型MMSマオチャオ。猫子の愛称で呼ばれる。リペイントモデルのまおは水猫と呼ばれる。名前の由来は「猫爪」の中国読み。犬型ハウリンとセットでまおりんとも呼ばれる。 まおりん まおりん 猫型マオチャオと犬型ハウリンの2体を同時に指す言葉。デザインを担当したBLADE氏がそう呼んでいる。巷では、りんまお、と呼ばれることもある。マオハウは死語。 マジョーラ まじょーら 魔法(マジック)やオーロラのように、色相を光によって変化させる日本ペイントの塗料のこと。同社の登録商標であり、由来は前述の発色に因む。武装神姫2036で「マジョーラバカ」という言葉が使われ、(マジョーラと同じくらい心ゆさぶられる程のバカの意)以来、武装神姫関連のスレでは「感動的なほど~」の意で使われている。作者BLADE氏は「仮面ライダー響鬼」のボディカラーのことを指している。 股クール またくーる 神姫の股を開いたり閉じたりして気持ちを落ち着かせること。決して卑猥な意味ではない。 マタンゴ またんご アーマー『シイタケ・シールド』を複数装備した神姫の事。人によって若干の違いはあるが大抵4個以上装備している神姫に対し使われる事が多い。他オーナーの神姫に対して使う用語ではない。場が荒れたりスルーされたりする。数回の弱体化とディゾナンスの追加により、主流からはほぼ去った。 マッシブ猫 まっしぶねこ ミッション『エクストラミッションVI:マッシブに』の相手神姫。シェシェという名前があるにもかかわらず、この呼び名のほうがよく使われる。 魔法盾 まほうたて 魔法ダメージダウンLv2を持つアーマー『マジックシールド』のこと。コナミ繋がりの某おとぎ銃士のクローバーの紋章がモデル?ちなみに魔法攻撃を受けると魔法陣が展開され、ジオラマスタジオでもこれを使用可能。 マルチ まるち アクセサリー『マルチセンサーゴーグル』のこと。多くのユーザーによって熱望されていた新型ゴーグル。そのセンサーの形や、公式の紹介でアークが装備していることから、別の「マルチ」のことも意識しているのではないかと疑われているとかいないとか。 みこーき みこーき 戦闘機型飛鳥のこと。デザインが巫女+飛行機なのでこう呼ばれることもある。 水犬 みずいぬ 犬型ハウリンのリペイント版「凛」のこと。水着ペイントの効果で水中適性が高い為。正確には湖南高校神姫研究会特製超強力耐水ペイント。 ミズキ みずき 忍者型MMSミズキ。白忍子の愛称はあまり使われず、そのまま「ミズキ」「ミズキさん」と呼ばれることが多い。フブキから派生したブランチモデルのため、外見や音声はほぼ同じの色違いモデルになっている。SF 08でラスボスとして初登場し、後にフィギュア化・データ販売も開始された。バトロンで使えるモデルは、試作型とは言語処理ロジックが異なり、わらわ言葉が特徴的。SF 08およびWF 08に登場した「ミズキ試作型」、ふくびきカウンターに居る「受付担当ミズキ」(ふくびきの人、福引の女、フクビキなどと呼ばれる)、シークレットミッションに登場する「ミズキ」は、それぞれ名前が違うことから全て別の個体である。 水猫 みずねこ 猫型マオチャオのリペイント版「まお」のこと。設定は水犬と同じ。以前は猫相手に水中ステージ(苦手)で「勝った!」と思ったら水猫だったというオチがよくあった。しかしブルマ等の実装や、そもそもの素体数の増加により、素体の判別が出来ないのも水猫に限った話ではなくなった。 味噌/ミソ みそ ミッションバトル、もしくは小ミサイルや中ミサイルのこと。前後の文脈と流れから判断する必要がある。 味噌漬け みそづけ 適正距離の修正やスキルの習得のためにミッションを何度も繰り返すこと。 緑字 みどりじ シミュレーターのマッチング時に相手が居ない場合に呼び出される、名前が緑色のNPCのこと。その時点でログインしていないプレイヤーのデータを借りている。 無課金 むかきん バトルロンドをお金をかけないで楽しむこと。また、縛りプレイの一種。フィギュア課金を含むか含まないかで議論になることがあるが、含まないことが一般的。アチ装備、GEM装備も無課金忍子で揃えるのが通。 虫足 むしあし アーマー『インセクティア・ブートギミック』のこと。 虫腰 むしこし アーマー『インセクティア・ウエストギミック』のこと。 虫羽 むしはね リアパーツ『インセクティア・リアギミック』のこと。同じ虫モチーフのリアパーツ『グラスパピヨン』のことではない。 夢魔子 むまこ 悪魔夢魔型ヴァローナのこと。軽黒子とも呼ばれる。 ムラクモ むらくも メインウェポン『天叢雲剣』のこと。読みはアマ(アメ)ノムラクモノツルギ。「むらくも」で変換しても出ないせいか、こう表記されることがある。なお「叢」は「くさむら」で変換出来る。 ムル子/ムルチー むるこ/むるちー 戦車型ムルメルティアのこと。 ムルメルティア むるめるてぃあ 第8弾神姫、戦車型MMSムルメルティア。ムル子、ムルチーの愛称で呼ばれる。名前の由来はドイツ語でリス科の「マーモット」より。 命中会議 めいちゅうかいぎ 誰かが2chバトロンスレにて「命中回避」を「命中会議」と誤って記載・投稿、ニュアンスが受けてAA、派生AAが即時作られた。→AA倉庫また、命中率10%の攻撃が連続ヒットしたりする気まぐれで読めない命中判定を揶揄して、「六体の猫子による命中会議」などと例えられる。 メギン めぎん アーマー『メギンギョルド』(旧名、メギンギョルドベルト)のこと。 メタ めた 時々の流行を分析して対抗すること。類義語は「アンチ」。元々は「高次の(な)~」などを意味する接頭語であり、本来の用法としては「メタゲーム」のように使うのが正しいが、「メタ」と略したり、動詞化して「メタる」といった形でも使われる。「デッキ」と同様にカードゲーム用語からの影響を受けているのか、時折この表現も見かけられる。 メッキ めっき ミッションやイベント等で繰り返しアチを達成していると簡単にオーナーグレードが上がるため、グレードと実力が釣り合わなくなり、安っぽくて脆い「お飾り」になってしまったことを指す。上辺のごまかしを「メッキ」、ごまかしが効かなくなり本性が現れることを「~が剥がれる」と呼び、またグレード自体が金属の名前を冠しており、語感も良いために定着したと思われる。相手を指す言葉としては好ましくないため、自虐ネタとして用いられることのほうが多い。 モナーテ もなーて アクセサリー『モナーテ・LRSSゴーグル』のこと。以前は、ゴーグルと呼ばれていた。代替のない有効な武装であったため装備している神姫も多く、それゆえに忌避される武装だったが、マルチセンサーゴーグルの実装により、使用用途によって使い分けられるようになった。 上へ戻る
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霧に包まれた公園に爆音が轟き、何本もの水柱が上がる。 その上がった水柱を避けるようにアメティスタは泳いでいた。 「・・・ちょこまかと!」 ルシフェルは両腕のリボルバーキャノンを連射し、アメティスタを捉えようとするが水に入った彼女にあたるわけも無い。 撃ちつくし、即座にリロードし池・・・というよりは湖を見る さっきからアメティスタは逃げ回るだけで何も攻撃をしていない。それは単純に彼女の武器がプチマシィ~ンズしかないからなのだが・・・ルシフェルはそれに気づかない。単に腰抜けなだけだと考えている。 「攻撃してこないなんて・・・一体ここに何しに来たの?」 ・・・・・戦いに来たんだけどね 池の底で、アメティスタはそう考える。 今、彼女は弾丸の届かない水の中でバックパックから取り外したコンソールを弄っていた。その顔は悪戯好きな子供のようだ。 彼女は水に入る前にバックパックを陸に置いて来ている。よって今の彼女の武装は遠隔操作のプチと手に持ったコンソールだけだ。 ・・・普通の神姫ならすぐに負ける貧弱な武装だろう。普通の神姫ならば。 しかし彼女は、ある意味において他の神姫とは一線を記す戦闘スタイルの保持者であった。 他の神姫が戦闘員ならば、彼女は徹底した非戦闘員だ。 ・・・うん、こんなものかな コンソールのキーに何かを打ち込んでいたアメティスタが顔を上げる。 日の光が落ちてくる、ゆらゆらと揺れる水面の向こうにはルシフェルが不機嫌な顔で銃を構えているのだろう。 アメティスタはその表情を想像して少し笑う。 ・・・・さぁ、行こうか そうして彼女は、水面へ向けて泳ぎだした。 ホワイトファング・ハウリングソウル 第十四話 『視覚素子は嘲う』 ルシフェルは自分の身に何が起きたのか理解できなかった。 水面を狙っていたら、いきなり右側からの銃撃を受けたのだ。 「――――――っ!?」 自らの背の羽根でその全てを防いだが、動揺は抑えきれない。 アメティスタは水から上がっていないし、プチマシィ~ンズだとしたら火力が強すぎるのだ。何よりアメティスタは全く武装していなかった。唯一背負っていたバックパックだって今そこに放置されている。そうすると・・・・今の攻撃はいったい誰が? 「・・・・彼女のお友達、じゃなさそうね」 ここに来る前から彼女は周囲に気を配っていた。もちろん公園の周囲に配置されたプチには気づいていたが動いていないため無視した。まさかそれでは・・・否、それはない。ルシフェルの頭部に取り付けられたアンテナは先程から敵の姿を捉えてはいない。霧のせいで見づらいが、肉眼でも敵の姿など見えていないのだ。 「・・・・だったら、今のは一体?」 と、彼女の正面にいきなり人影が現れる。 反射的にルシフェルは銃を捨て、思いっきり殴っていた・・・が 「!? 手ごたえが・・・!」 殴った瞬間、人影は霧散する。 するとすぐに右側に人影が現れ、ルシフェルは残った左の銃で人影を撃つ。しかしまたも人影は霧散する。 今度は左に現れ、銃を向けるまもなく斬りつけられる。辛うじてチーグルでそれを防ぎつつ右手で相手を殴るも、また霧散する。今回は辛うじて紫色の髪が見えたが・・・・ 「幻影!? でも斬りつけられた・・・なんなのこれ!?」 「傷つけようのない敵。避け様のない攻撃。心の奥に潜む獣。・・・そういうものだよ」 背後からの声にルシフェルは腰のデスサイズを引き抜き振るう。 その死の鎌は確かに背後にいたアメティスタを両断した。・・・はずだった。 「酷いな。いきなりこんな事されたらびっくりしちゃうじゃん」 地面に倒れたアメティスタが平然と言う。 腰から両断されたにも拘らず彼女は痛みを感じていないようだった。 「いくらなんでも出鱈目すぎる・・・・! なんなのよアンタ・・・!!」 左のリボルバーキャノンをアメティスタに向け連射する。 跡形もなくなったアメティスタに、ルシフェルは僅かに安堵する。・・・するのだが 「―――――――――ッ!?」 今度は真後ろから、“アメティスタ”に斧で斬りつけられた。 防ぎきれずにダメージを負うがルシフェルは即座に距離をとり、銃口を向ける。 その瞬間今度は左から斬りつけられ銃を落としてしまう。 「っ! なんだってのよ!!」 痛みを堪え翼でなぎ払う。 その瞬間右側から斬りつけられ傷を負う。 これ以上のダメージを避けるためにルシフェルは黒い翼をはためかせ、空へと逃げる。 流石にアメティスタはもう負ってはこなかった。 「(ちくしょう・・・! なんなのよ。瞬間移動でもしてるっての!?)」 考えられる可能性は二つ。 一つは純粋にアメティスタの移動速度が異常な場合。しかしこれは彼女の脚部が陸上移動にむかないことから却下される。そうなると唯一残った二つ目の可能性、それは・・・・ 「・・・まさか、もう一人いる!?」 そう、そう考えればつじつまが・・・合うわけもない。 初めに倒した人影は手ごたえがなかったがそれ以降は確かに手ごたえはあった。そうなると確かにもう一人くらいはいてもおかしくはないが・・・・それにしたって全方位からの攻撃をするには人数が足りなさ過ぎる。なによりこのバトルは二対二で行われているのだ。これ以上人数が増えることは無い。 となると、一体・・・!? 「残念。時間切れだよ」 後頭部から、いきなりの衝撃に耐え切れずにルシフェルは地に叩き付けられた。 「ガ――――――ッ!?」 ルシフェルは思わず叫ぶ。全身を強く打ち立ち上がることも出来ない。 「もう少しおりこうさんだったら簡単に気づいたかもね」 地に伏せるルシフェルの顔を、池のほとりに座っているアメティスタが覗き込んだ。 「あ、あんた・・・!」 「おっと。もう攻撃するのは止めてよね。するだけ無駄だからさ。・・・うん、実際キミは強かったよ。まともに戦ったら負けてたのはボクだ」 アメティスタはそういってルシフェルのリボルバーキャノンを拾う。 小さな彼女の手には明らかに不釣合いな代物だった。 「・・・結構重いねこれ。さて、それでは最後に手品の種明かしをしましょう。ボク達は機械かな? 人間かな?」 「・・・機械、だろ」 「当たり。さてここでボクはもう一つ質問をしよう。ボク達の頭には何が詰まっている?」 その問いにルシフェルは僅かに考える。 「・・・・・機械が詰まっている。人間の脳に近い動きをするためにね」 その答えにアメティスタは満足そうに笑う。 「その通り。でもさ、機械である以上、セキュリティは万全じゃないよね。コンピューターもそうだ。ネットにアクセスすればいつだってウィルスの脅威に曝される」 「ウィルスだって? わたし達は・・・まさか」 「そのまさか。最初の攻撃でキミにウィルスを仕込んだのさ。・・・キミの目、盗ませてもらったよ」 そういってアメティスタはコンソールをかざす。 そこに表示されているプログラムは『インターセプター』。感染者の視覚情報に入り込み、幻影を見せたり特定のものをそこに無いかのように見せるウィルス。そして一番重要な点は、このウィルスに感染したものは“幻影と現実の区別がつかない”点にある。 つまり・・・・ 「最初に幻影だと思ったのは半分正解で半分間違い。たしかにインターセプターは幻影を感染者に見せるけど、同時に幻影と現実を同期させる。切られれば痛いし撃たれても痛い。でも・・・・痛いだけで、キミの体は無傷だよ。さっきの落下以外はね」 ルシフェルは目だけを動かして自分の体を見てみる。 そこには切り傷なんて微塵も無い、綺麗な体があった。 「・・・最初から・・・わたしを叩き落すつもりで・・・?」 「そゆこと。プチは霧だしてただけだしバックパックはただの中継ステーション。キミがボクと戦って勝ちたいなら、バックパックを破壊するか公園を爆撃でもすればよかったんだ。・・・・さて、ここまで来てボクは銃を撃つつもりはない。降参してくれないかな?」 アメティスタはそういって微笑む。 その手に握られたリボルバーキャノンはよく見ると細かく震えていた。 このくらいなら・・・ルシフェルは一瞬考えるが、銃口が避けようのない距離で突きつけられているのを見て考えるのをやめた。 「・・・・降参だよ。まさか戦わない武装神姫がいるとはね」 ルシフェルのその言葉共に、彼女の体はデータの塊になって消えた。 前・・・次
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花は咲き乱れて ※注意!18禁です! 登場人物 パンジーのマスター 友人に勧められ、神姫を初めて購入した男 うっかりさん パンジー 花型MMSタイプジルダリアの神姫 大人しい性格 書いた人:優柔不断な人(仮) ちらっ…ちらっ… 「どうしたのです、マスター?」 昨日ウチに来たばかりのパンジーが俺に言った 「いや…なんでもない…」 友達に勧められて初めて買った武装神姫 パッケ絵に惹かれて中身を良く見ずに買ってしまったのだが、まさか中身があんなにえっちなカッコだったとは… 「心拍数及び呼吸数が異常に上昇してるようですが、どこかお体の具合でも悪いのですか? 「いや、大丈夫だ…」 武装させればマシになるのだろうが、武装させる為には直視しなければならない マスター設定をするまでは耐えられたのだが、動き出したらもう恥ずかしくて恥ずかしくて… 「もしかして、私に何か到らぬ点でも?」 「そんなことはないよ」 「でも私が起動してから、ちっとも私の方を見て話して下さらないのですね…」 う…俺が悪いのに…罪悪感が… 「…クスン、申し訳ありません。私が到らないばかりにマスターに不愉快な思いをさせてしまって…」 「そんな事ないぞ!キミがとっても魅力的すぎるから、俺の気持ちが昂ぶるだけだ!昂ぶりすぎるから怖いだけだ!」 ようやく彼女を見ながら、思いをぶつける 「…ホントですか?」 「ああ、本当だ。キミは俺になんか勿体ないくらい眩しすぎるのさ」 「そういうことでしたら相談していただければ良かったのに。私、良い対処法を知っております」 「何?ホントか?」 「はい。古くから伝わる気持ちの昂ぶりを押さえる方法です」 俺の前に来る彼女、そしてちょこんと座り、足を上げ顔を真っ赤にしながら言った 「私の足を持ってゆっくりと『開いたり、閉じたり』してください…」 彼女の言うとおりにしてみる俺 「開いたり…閉じたり…開いたり…閉じたり…」 彼女の透き通るような白い肌、それが微妙に赤みを帯びている… その肌を隠すのはわずかばかりの白い布… 「なんか余計に昂ぶってくるような…」 「ヘンですね…昔から伝えられている方法なのに…?」 彼女のカラダを弄ぶように開いたり閉じたりする俺… …やば…理性が…ぷち… 「パンジー!」 俺はとうとう欲求に負け、彼女の胸へと指を伸ばした 「あっ…」 弱々しく抵抗する彼女。しかし神姫と人間の力の差は歴然だ むにゅ… 「柔らかい…」 「マスター…ダメです…」 彼女の抗議を無視し、胸をいじり続ける くいっ ブラを上にずらす。彼女の胸が丸見えになる 勿論その先端のピンクの突起まで 「あっ…恥ずかしい…」 彼女のささやかな抵抗が、俺の淫らな欲望を増大させる 「キミが悪いんだ…」 「え…?」 俺の言葉に目を丸くする彼女。体が硬直し、抵抗も収まる そんな彼女の体に顔を近づけ ぺろっ お腹から胸、顔まで舐める 「はうっ…私が…いけないんですか…」 「そうだ、キミがいけないんだ…」 もう一度舐める 胸の先端を刺激する 「はうっ…私の、どこがいけないんですか…」 ぺろっ 答えずに舐め続ける 「私が…悪いんですか…申し訳…ありません…」 ぺろっ 不意にしょっぱい味がして驚く俺 ふと見ると彼女は… 「申し訳ありません…マスター…私が…到らないばかりに…」 その小さな体を震わせて、泣いていた …俺は何をやっている? 今俺はなにをしている? 彼女の何が悪いんだ? 悪いのは俺だ 自らの欲望に負けた俺だ 「…マスター、泣いておられるのですか?」 俺は泣いていた 自分の愚かさに 自分の勝手さに 彼女を傷つけた事に… 「…ごめん」 胸から手を離し、箪笥へと向かう 「…あの」 引き出しを開け、ハンカチを取り出す 「ごめん、最初からこうすれば良かったんだ」 彼女にハンカチを掛ける 「…あ」 ハンカチで体を隠す彼女 「ごめん、キミは悪くない。悪いのは俺だ。恥ずかしがりながらも、キミの肌をみたかった俺の…」 「マスター…」 「俺はマスター失格だ。キミを守らなきゃいけないのに、キミを傷つけた。キミを汚そうとした。自分の性欲を満足させるためだけに!」 「そんなことないです…」 「…え?」 「マスターにそんな感情を起こさせた私が悪いんです…」 そういって立ち上がる彼女 「だから…」 顔を真っ赤にし 「私で鎮めてください…」 ハンカチを下に落とし、全てをさらけ出して 「私を…汚してください…」 彼女が言った 「…わかった」 彼女を優しく持ち、テーブルの上へと乗せ、仰向けに寝そべらせる そして、彼女に残った最後の砦…パンティを脱がす 「…あ」 彼女の秘部からはキラキラと光る物が… 「濡れて…いる…」 「恥ずかしい…」 「もっと濡らしてあげるよ」 そう言って秘部に舌を這わせる 「はうぅ…」 熱い吐息を漏らす彼女 そんな彼女の秘部を執拗に攻める俺 だんだん彼女の息づかいが荒くなってくる 「あっあっ…はぅ…あん…あうう…あっ…ああっ!…もう…ダメッ!」 そんな彼女の秘部に最後の一撃を与える 「ああ~~~~~っ!」 背中をピンと反らせ、達する彼女 「ふぅ、ふぅ、ふぅ、はぁ、はぁ…はぁ…」 そんな彼女の頭を、優しく撫でる 「…申し訳ありません…マスターを鎮めなければ…いけないのに…私だけ…」 「…じゃあ、休憩したらこっちも…」 「あ…大丈夫です…」 彼女の返事を聞き、立ち上がりスボンをおろす 「…あ…これがマスターの…おしべ…すごい…」 この表現を聞いて、ああ、やっぱりこの子は花型なんだなと思ってしまった 膝を付き、テーブルの上にいる彼女に男根を近づける 「それじゃ、頼むよ」 「…はい」 そういって男根に手を伸ばす彼女 「…うっ」 触れた途端に快楽が… 「あっ…大丈夫ですか?」 「大丈夫、気持ちよかっただけだから。だから続けて」 「はい…」 そう言って男根を撫で始める彼女 「うう…きもちいい…もうちょっと…強く…早くして…」 しゅっ…しゅっ… 彼女の擦る力が強くなり、速度も上がる しゅっしゅっしゅっしゅっ 「ああっ…先端も舐めて…」 ぺろっ…ぺろっ… 舌による刺激も加わる 先走りの液体と、彼女の唾液とで男根はすっかりビショ濡れになった ぬちゅっぬちゅっ… 濡れた卑猥な音が響く もっと刺激が欲しい… 「ちょっとストップ」 「…はい」 彼女を止める俺 「もう一回寝そべって」 いわれるままに寝そべる彼女 その上に男根を乗せる 「足で締め付けて」 「あ…恥ずかしい…」 そういいつつ足を絡め、締め付けてくれる彼女 「じゃあ、動くから。体をしっかりと固定してね」 テーブルに手を置き、動きに備える彼女 それを確認し、ゆっくりと腰を降り始める ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ… 足で締められた男根は、彼女の秘部とお腹へと擦りつけられる 「おっ…おおっ…すごいくもちいい…」 「んっ…はんっ…私も…ですっ…あん…」 腰を振るスピードを上げる俺 「おっ…おおっ!…もう…そろそろ…」 「はうっ…私もっ!…また…あううっ!…」 「はぁっ!…くっ…くぅっ!でるっ!でるぅっ!」 びゅくっ! 「はうっ!…はあああああっ!」 ビクン! 同時に達し、嬌声を上げる彼女の体へと精液をぶちまける俺 びゅくっ!びゅくっ!びゅくっ! 「うううっ…ううっ…はううっ…」 「ああん、マスター…スゴかったです…」 彼女の体は、俺の放った精液で全身ズブ濡れになった… 「そうしてあなたが生まれたのよ、菜種」 パンジーは目の前にいる種型MMSタイプジュビジー…菜種に向かって話しかける 「ふーん。パパとママって、出会ったときからラブラブだったんだ」 「おいおいパンジー、嘘を教えるなよ」 「えー、嘘なの?」 「一部だけよ」 「どこが嘘なの?」 「それはね───」 終わる あとがき エロ妄想スレに投下したネタを大幅加筆修正してみました ジルダリアの足って、めしべなんだそうで そこにかけたら… とここまで書いて、武装させてなかった事に気付く俺うっかりさん